ITフリーランスも労災保険「特別加入制度」の対象に
フリーランスでも加入できる労災保険とは
労災保険とは
労災保険は、仕事中や通勤で被ったケガや病気、病害、死亡などに対して治療費や休業期間の給付、障害の残った場合の給付、死亡した場合の遺族への給付などを行うものです。社会保険や国民健康保険とは別の制度です。労災保険は、一人でも社員を雇用する会社には加入が義務付けられており、保険料は全額会社負担となっています。会社員やパート、アルバイトの人は自動的に労災保険の対象者となりますよ。
一方でフリーランスや個人事業主、社長や役員は会社と雇用関係にないため、労災保険の対象外となります。しかし、業務内容や災害の発生状況などから鑑みて保護するべきだとみなされた人たち、例えば、一人で土木や建築業をしている一人親方、個人タクシー、個人配送業者、条件を満たす農業者などです。こうした人たちは、個人でも労災保険へ加入することができますよ。
特別加入制度とは
このように個人でも労災保険に加入できる制度を特別加入制度といいます。前述の通り、これまでは特別加入制度で労災保険に加入できる業種が限られていましたが、徐々に見直されて国の成長戦略におけるフリーランスの保護を行うようになってきています。すでに俳優や芸能従事者、アニメーション制作事業者などに範囲が拡大されました。
ITフリーランスも対象に
令和3年9月1日の厚生労働省労働基準局長通達において、労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令が施行されました。これによって、プログラマーやデザイナーなどのITフリーランスやウーバーイーツなどの自転車を使用した配達員なども特別加入制度の対象になりました。
ITフリーランスとして特別加入制度の対象となるのは、情報処理システムの設計、開発、管理、監査、セキュリティ管理、情報処理システムに関する業務の一体的な企画、ソフトウェアやWebページの設計、開発、管理、監査、セキュリティ管理、デザイン・ソフトウェアやWebページに関する業務の一体的な企画その他に従事している人です。
具体的な職種としては、ITコンサルタント、プロジェクトマネジャー、プロジェクトリーダー、システムエンジニア、プログラマー、サーバエンジニア、ネットワークエンジニア、データベースエンジニア、セキュリティエンジニア、運用保守エンジニア、テストエンジニア、社内SE、製品開発・研究開発エンジニア、データサイエンティスト、アプリケーションエンジニア、Webデザイナー、Webディレクターなどですね。
労災保険の加入は個人で直接できるものではなく、特別加入団体を通して申請します。ITフリーランスの場合は、「ITフリーランス支援機構全国労災保険センター」が特別加入団体として設立されていますよ。